わたしがとても幼かったある夏の出来事。
バナナを凍らせて食べるのが好きやった。
いつもはバナナ剥いたやつをラップで包んで凍らせてたんやけど
その時はなぜかバナナを皮ごと凍らせてしまっていた。
一人で留守番してたとき、どうしてもその皮ごと凍らせたバナナが食べたくなって
かっちかちのバナナの皮を剥こうと苦心した。
包丁。
幼いわたしはアホなのでバナナを左手に
包丁を右手にして、手前に引きました。
ぎゃー。
そうです、その傷が未だに左手人差し指に残っているのです。
でも、その時のわたしはめちゃ冷静に
傷口を洗って、ティッシュをまいて輪ゴムで締め
扇風機で冷やすという、謎の処置をおこなったんやった。
という、痛い思い出がよみがえったのは
田辺聖子編「わがひそかなる愉しみ」にラルボーの「ローズ・ルルダン」が載ってて、ものすごおく良かったので「幼なごころ」買ったら、やっぱりすごおく凄かった!!!
子どもの頃の感覚って生きてくうちにやっぱりどうしても薄れてしまうんだけど、それを書き記そうとする執念がすごい。
奥田亜紀子「心臓」もなんだか近い感覚が記されてるように思う。
子どもの頃のあの、ひとりぼっちの、わたしの世界の残滓がまだわたしの中にあるんじゃー。
とみこ