プンクチル日記

3ピースバンドpunkchill(プンクチル)の日常

夏の来客/気を遣う

はっと気づけばすでに9月で、肌に触れる風が何だか秋の気配である。
ああ。夏は終わったのか。もしかして。


この夏は、遠方からの来客がたくさんあって、気を遣うことになった。


基本的に、アメリカ人は気さくな人が多いので、お客さんでも自分で
台所の戸棚を開けてグラスをとって飲み物をついだり、冷蔵庫を
勝手にあけてくれたりするカジュアルさなので、おもてなしという意味では
楽なのだが。


Jさんはユダヤ教信者である上に、旧石器時代の食事法に従うという、アメリカの都市部で
健康に気を遣う人たちがよくやっているパレオ・ダイエットを実行する人であった。
なので、エビとか蟹とか豚肉は食べられず(ユダヤ教)、パスタやパン、お米等の穀物類はだめ、
加工品も砂糖も乳製品も豆類も食べません(パレオ)、と言われて、エエ、4日間もどうやって
泊まってもらったらいいのか、というかあなた、そんなに制限あったなら、人と会食するのも
難しかろう、ということで、炭水化物と豚肉と砂糖をふだん、好きなだけ食べている自分は
何を出せばいいものか、すっかり困ってしまった。牛肉と鶏肉は食べられるそうなのだが、
わたしはその2つを食べない。


そんで結局は、本人が選べる外食で4日間のほとんどを乗り切ったのであった。


その次に来たSさんと家族に会ったときは、会う前に「義理の兄にトランプ支持者がいるから
政治の話をしてはいけないよ」と言われた。わ、トランプ支持者になんて初めてお目にかかる。
そっか、トランプの悪口言ったらいけないんだな、よし、と唱えつつ会いに行ったら、
「妹はジェンダーフルイド(ジェンダーが流動的)なので、sheって言わないで。彼女の前では
theyを使ってね」と言われた。性別を限定しないためにsheとかheの代わりに単数扱いのtheyを
使うことがある、というのは知っていたけれど、実生活で本当に使ったことはなかった。おお、
気を付けなければ。


その次にやってきたDさんは極度の偏食で、ほとんど何も食べられない人であった。
普段は自分で食事を作り、2種類の献立を毎日繰り返して食べているのだそうである。
これも、下手に手料理など出すとかえってきまずいので、5日間を全部外食で乗り切った。


その次にやってきたGさんは、バイセクシャルもしくはアセクシャル(無性愛者)なので、
そういう話は禁忌であり、しかもものすごくパワフルで、昼間から浴びるようにお酒を飲む。
何というのかこう、そこにいるだけでエネルギーがむんむん充満している感じで、一緒に
いるとこちらのエネルギーまで取り込まれてしまうような感じだった。


咳をしていたGさんが帰っていった後、背中がぞくぞくし始めた。
彼は風邪菌を残していったのである。Gさんから受け取った風邪は、大変にしつこいもので、
2週間治らなかった。


なんか無闇に大らかそうに見えるけれど、アメリカ暮らしも実は結構、気を遣うのである。


あたメロ